カレーが教えるあなたの体質



カレーを食べると胃がもたれる、胸焼けするという人がいます。

カレー自体、何か体に悪いのでしょうか?

そうではありません。

あなたの体に何か病気がある場合、カレーを食べると症状が出やすいのです。

その原因は大きく2つ考えられます。

1つは、胃の中に熱があること。

2つめは、胃の中に津液が足りない胃陰虚であること。

カレーはもともと体内を温める成分が多く、気を発散しながら通す性質を持っています。

ですから、胃熱のある人は、カレーを食べると熱がますます増してしまうため、胸やけなどを感じるのです。

大好きなカレーを食べた時に違和感を感じたり、昔からどうも苦手という方は、一度漢方薬局で胃熱や胃陰虚ではないか診断してもらってはいかがでしょう。

弁証論治で体内のバランスを整えてからカレーにチャレンジしてみてください。

きっと美味しく変わりますよ!



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頭の汗っかきは健康の証拠ってほんと?



ラーメンを食べたときや、冷房の下などで頭に大量の汗をかく人がいます。

特に中高年の男性に多く、「新陳代謝がいいんだ」と元気自慢する人もいますが、この止まらないような汗、元気の証拠ではなく実は体内に病気の芽がある印でもありますので、注意が必要です。

暑いところに行くとイライラしてきたり、常に水を大量に飲みたくなる場合も同様です。

これは、胃の中に湿熱がある証拠です。

熱が上昇して体の津液と気がどんどん飛ばされてしまうことが、異常な発汗の原因です。

発汗により津液と気が消耗していくために、知らないうちにだんだん体が弱くなっていく恐れがあります。

このまま放置していると、糖尿病や若年性認知症、老化が早まる可能性が高くなります。

胃熱の特徴としては、顔が赤ら顔で、喉や口が乾く、汗がねばっこく油っぽい、イライラすることが多い等の症状を伴うことがあります。

このような方は是非、弁証論治で早めに治療されることをお勧めします。



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ああ、恨めしい漢字文化



中医学の専門用語ははっきりいって難解です。

日本にも「標本」と言う単語がありますが、中医学の「標・本」とは意味が全然違います。

日本でも使用している漢字でありながら、まったく違う意味で使われる中医学の専門用語はたくさんあります。

「元気」なんていうのも、そう。
「神」だって「かみさま」ではなく「しん」と読み、顔色、目つき、つや、思考力の有無を見るものです。

でも日本人は漢字を見ると、どうしても普段使っている意味を想像してしまい、わかったような気持ちになってしまう。

それは漢字文化の社会ですから、ある程度仕方のないことだと思います。

でも推測で自分の理解しやすいものに置き換えてしまい、正確に理解していないままでいると、臨床で専門用語を使って説明される概念が突如チンプンカンプンになり、弁証論治できないという困った事態に陥る恐れがあります。

そうならないためにどうしたらいいでしょう?

中医学で専門用語の漢字が出てきたら、まず、
1)皆さんが日常で使う意味、
2)それとは全く別の中医学専門の意味
と、常に2つを分けて考えるようにしてみるというのはどうでしょう?

そして用語の正確な意味を何度も自分にすりこんでいくと良いと思います。



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中医薬が効いた!



臨床体験の続きをお話しします。

前回お話しした「性」でお悩みの患者さんが、ある日突然大学の寮まで訪ねてきました。

彼はいきなり「董先生! ありがとうございます!薬が効きました!」と僕の手を握って何度も頭を下げて言うのです。

それまでどんな西洋医薬を試してもダメだったのだそうです。
今回薬が効いた事が本当に嬉しそうでした。

結局、その患者さんに「処方箋にあなたの名前があった。だからあなたに続けて診てほしい。」と言われ、仕方なく「では、もう少し同じ薬を続けましょう」と伝えて帰ってもらいましたが、その間中、ルームメイトがみんな必死で笑いをこらえていたのは言うまでもありません。
「中医学をバカにしていた中医学劣等生の董が、『先生』と呼ばれて、中医薬を偉そうに処方しているぞ…」と。

それからしばらくは、「董先生!」とからかわれて、随分ばつの悪い思いをしました。

しかしながら、このことは僕自身も衝撃でした。
中医薬は臨床薬だった… 中医薬はちゃんと出せば本当に効く!

雷に打たれたような「知柏地黄丸」の一件以来、私はガラッと変わりました。
洋の東西を問わず、医療を志す者にとって、「効く」ということは大きな魅力です。

その後、さまざまな中医学の本を読むようになり、今までさぼってきた理論を復習しつつ、中医学の雑誌を読む習慣ができました。

もともと科学的思考好きな私は分析オタクでもあります。
自分のとったメモなどから、最新の中医学の臨床でも、大学1~2年で習う基礎理論の考え方がものすごくよく使われることがわかってきました。

「これ、こんなに大事だったんだ」、というか、「こんなに使うものなんだ」と遅ればせながら気づきました。

それから、「基礎理論・大嫌い」が「基礎理論・命」に180°変わったんです。

たぶん今、中医学や漢方をもっと学ぼうと思われている皆さんの多くが、「中医薬が効いた!」という嬉しい驚き体験がきっかけではないかと思います。

それでせっかく学び始めたのに、そして、早く生薬や処方のことを学びたいのに、まずは基礎理論からで、「あーあ」と思われることもあると思います。

でも実は、理論を理解して活かすことで、本当にいい薬を出せるようになるんです!

そのことを是非忘れずに、基礎理論を味方につけて頑張ってほしいと思います。



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運命出会い、知柏地黄丸



前回に引き続き、学生時代の臨床体験についてお話します。

ある日、実際の診療現場での実習がありました。
診療する教授の脇に立ち、説明を聞くわけです。

一人の男性患者が「射精できない」と病状を訴えてきました。

二十歳そこそこの僕は、そんな病気があるのかと内心驚愕しました。

「董くん、記録してください」と言われたので、教授の問診を記録していると、最後に「さて、どのような処方がいいと思う?」と質問されました。

私はまったく見当もつかず、黙っていました。

教授は「知柏地黄丸(ちばくじおうがん)にしましょう。どうかな?」と私に聞いてきました。

この方剤は既に習ったはずでしたが、私は完全に忘れていて、聞いてもそれがどんな薬だったかさえ思い出せず、「いいと思います」と答えるしかありませんでした。

処方箋の教授のサインの横に、立ち会った私もサインをしましたが、確信が持てませんでした。

しかし、ある日その患者さんが嬉しそうに訪ねてきました。

続きは次回お話します。



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驚きの臨床体験!



中医薬は正しい処方ならば絶対に効きますとお伝えしてきました。

実は学生時代に自分自身でも驚きの臨床体験があり、その時から確信しています。

今回はこの衝撃的な経験をお話ししたいと思います。

医学を志した頃の私は、西洋医学一辺倒でした。

もともと数学や物理学が好きな私にとって西洋医学はとても明快でした。

ところが、ひょんなことから入学した大学は中医薬大学。

医学の専門的な勉強ができるとワクワクして受けた最初の授業は、陰陽五行説…もうガッカリでした。

こんなことを覚えて一体何に効くの? 効くわけがないよ!という思いが日に日に強まり…、経絡があると言われても、そんなもの見えないじゃない? 

体の中を流れているのは、神経や血管でしょう!?と、イライラした私は、生意気にも中医学の基礎理論テキストなんて全部捨てて、本屋で西洋医学の本をたくさん買ってきて勝手に勉強していました。

西洋医学の授業もありましたから、そんなときには、先生の説明に対して本を何冊も持ち出して間違いを指摘する、鼻もちならない学生でした。

その頃の私は、卒業のために必要な単位と割り切って中医学のテスト勉強をしていたのです。
そんな時、一人の患者さん出会いました。

次回はこの患者さんとのやり取りをお話しします。



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覚えては忘れ、忘れては覚え…




一生懸命勉強してプロの中医師や漢方のプロになっても、ふと、細かいことを忘れてしまうことは誰にでもよくあることです。

私自身も、学生から質問されて「ああ、それは…」と言いながら、概念のイメージはありながらも適切な言葉が出てこなくて焦った覚えがあります。

特に臨床で忙しくなると、普段よく扱う病因病理以外を失念してしまうこともあるのではないでしょうか。

たとえば、基礎理論で学ぶ標(ひょう)と本(ほん)という概念がありますが、これらがそれぞれ何を指すか、正確に覚えているでしょうか。

本が体を指すとき、標は病気を指しますが、それだけではありませんよ。

ヒントは、「標・本」の捉え方は「陰・陽」の考え方と似ているってことでしょうか。

中医学には、「治病求本(ちびょうきゅうほん)」(治療するにあたって、本を求めて病気を治療する)という大原則がありますが、「本」を求める治療をするには、「本」の意味を知っている必要があります。

そうでないと、どんな漢方薬を出すべきかわからなくなってしまう。

やはり基礎って大事です。

とはいうものの、私が基礎をしっかり覚えていられるのは、受講生の皆さんに説明するために、基礎理論や専門用語を何度も繰り返し確認してきたからでもあります。

覚えるにはやはりアウトプットを繰り返すことが一番!

そうでなければ私も忘れていることがいっぱいでしょうから、アカデミーの皆さんに感謝です。

私も、皆さんと一緒にもっと勉強し続けなきゃと思います。

そう言うと、昔から勤勉な中医学生だったと思われるでしょうか?

いやいや実は…

学生時代をちょっと思い出しましたので、次回お話しします。




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陰陽両実はある?




年度より始めた「中医臨床総合課程講座」のLive授業では、毎月様々な質問にお答えしています。

8月28日開催の授業にとても興味深い質問が寄せられましたので、紹介したいと思います。

それは、「陰陽両虚はあるが、陰陽両実はありますか?」というものです。

これを説明できれば、陰と陽に対する理解の程度も深いものだと思います。

陰陽には「相対的」という絶対的なルールがあり、陰陽の平衡を常に保つことができれば健康であり、陰陽の平衡が乱れ平衡を保つことができなければ病気を発生させます。陰と陽のどちらかが過ぎる或はどちらかが過少になるなどすると平衡を保つことができません。従って、陰陽両実は存在しないはずです。

また、陰陽には互根互用という概念があり、陰陽の「根」は同じで自分自身の精気がこれにあたります。この根は精気で、陰精と陽精の関係から陰陽両虚が生じることが多いのです。

中医学では、これらの基本的な概念に対する理解の浅深によってその後の臨床応用にも大きな差が生じます。




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名医の見分け方~(上工編)時間をかければ名医になれる?



名医の見分け方~中国でのお医者さんレベル最終編です。

今日は「上工」についてご紹介します。

前回ご紹介した「中工」は、一般の病気にほぼ対応できます。

しかし、難しい病気、複雑な病気に対しては、まだ対応が難しいレベルです。

これらの病気に対応でき、うまく治療を進められるのが「上工」である第一の証拠と言えます。

第二には、まだ病気になっていない状態である「未病」を治せる力があること。

患者さんをパッと見るだけで判断し治せます。

まさに名医というべき非常に高いレベルです。

ただ、年数が経てば名医になれわけではありません。

ある程度弁証論治ができる中工が、患者さんの病気を分析してきたものを整理整頓し、足りない部分を常に勉強して自分のレベルを上げていくことで上工に近づいていきます。



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名医の見分け方~(中工編)プロとして漢方薬を扱うスタート地点




前回に引き続き、中国でのお医者さんレベルについてお話します。

今回は「中工」編です。

さて、中工はどのようなレベルでしょうか。

一言でいえば、漢方のプロとして仕事ができるレベルです。

中工になるには三つの条件をクリアしなくてはなりません。

第一条件は、中医学の専門用語や中医学の理論、弁証の思考方法を理解し、正しく使用できること。

弁証では病気の原因、病気の部位、性質、程度などを正確に判断できるレベルです。

第二は、それぞれの漢方薬配合の意味、特徴、どのような体質に合っている薬なのか、効果的に選ぶ能力を身に付けていること。

一般の病気に対して、弁証論治で効果的な漢方薬を出せるレベルです。

第三としては、自分が出した処方、あるいは他店で出た処方が、効いた・あるいは効かないのはなぜかを探る力を持っていること。

中国ではこの「中工」から漢方の専門家として認められます。

国際中医師の試験に合格した時点で、「中工」への第一歩となります。

次回は、最高レベル「上工」についてお話します。


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