前回に引き続き、学生時代の臨床体験についてお話します。
ある日、実際の診療現場での実習がありました。
診療する教授の脇に立ち、説明を聞くわけです。
一人の男性患者が「射精できない」と病状を訴えてきました。
二十歳そこそこの僕は、そんな病気があるのかと内心驚愕しました。
「董くん、記録してください」と言われたので、教授の問診を記録していると、最後に「さて、どのような処方がいいと思う?」と質問されました。
私はまったく見当もつかず、黙っていました。
教授は「知柏地黄丸(ちばくじおうがん)にしましょう。どうかな?」と私に聞いてきました。
この方剤は既に習ったはずでしたが、私は完全に忘れていて、聞いてもそれがどんな薬だったかさえ思い出せず、「いいと思います」と答えるしかありませんでした。
処方箋の教授のサインの横に、立ち会った私もサインをしましたが、確信が持てませんでした。
しかし、ある日その患者さんが嬉しそうに訪ねてきました。
続きは次回お話します。
漢方の勉強は「国際中医師アカデミー」