中国で「中医学を学んでいる」と言うと、会う人会う人が皆、さっと腕を突き出し、ベロを出してきて驚いた、と言う生徒さんがいました。
中国では病気を知るのに脈と舌が必要だということは誰でも知っている当たり前のことなのです。
それは、患者さん自身が感じるにおいや表現する言葉、声などは、精神状態に左右されることがありますが、舌と脈は人の気持ちによって変化することはなく、非常に客観的に症状がわかるためです。
この意味で、舌は嘘をつきません。
漢方のプロが患者さんの舌を見れば、病気の性質、病気の部位、病気がどこまで進んでいるかを捉え病状を正確に判断できます。
ですから、もし患者さん自身が症状をうまく表現できなくても心配しなくて大丈夫。
ちなみに舌診にかける時間は、舌の色が変わらない15秒程度です。短時間ですべてを診る力が必要ですから、卓越した診断技術といえます。
一方脈診は、全体を把握するのに少なくとも50秒ぐらいでしょうか。
いずれにしても秒単位での判断です。ちょっとすごいと思いませんか?
中医学では、舌と脈は、今の体の状態をはっきりと映す2つの大事な「鏡」です。
実際、脈診と舌診ができなければ中医学の弁証はできません。
この2つの鏡があれば診断には十分と知っている中国では、患者さんはあえて黙って腕と舌を出し、診断を待つこともあります。
その結果、中医師の診立てが自分の症状と合っていなければ、「この医者はたいしたことないな」と二度と来ません。
中国ではお医者さんが試されてしまう、なんて、ちょっと怖いですね。
漢方の勉強は「国際中医師アカデミー」