名医の見分け方~(下工編)問診と雑談は違います




中国では、漢方のお医者さんのレベルを、「上工」「中工」「下工」と分けています。
どのような違いがあるのでしょうか?

今日は「下工」についてご紹介します。

中医学では、ダメな漢方屋さんを「下工」といいます。
いろいろな特徴がありますが、まず肝心なところをあげましょう。

■特徴その1: 問診の目的をはっきりと持っていない。

そもそも患者さんに症状を訊く理由は、弁証するため、たとえば気虚なのかどうなのかを判断するために訊くわけです。
そういう見極めを意識せずにただ話を聞くのでは、処方の方針も立てられない下工です。

■特徴その2: 漢方薬の出し方を効能書きに頼り、根拠となる漢方薬の生薬の配合や構成を知らない。

断片的な知識で、朝鮮人参はアンチエイジングにいいと聞きかじったから、老化による症状っぽい患者さんに使ってみようというような処方をする…。

実際はその患者さんの体質が実なのか虚なのか弁証が必要です。
実ならアンチエイジングだからと朝鮮人参を出しても効きません。

■特徴その3: 漢方薬が効いても効かなくてもその理由がはっきりとはわからない。

生薬の効能や特徴を理解せずに、「効かないようならメーカーを変えてみましょう」とか、「漢方はマイルドに効くのに、効果はわかりにくのです」といった説明をするようでは、「下工」と言われても仕方ありません。

漢方を勉強しようという意欲をお持ちの皆さんには「中工」や「上工」を目指していただきたいですね。

次回は「中工」についてご紹介します。




漢方の勉強は「国際中医師アカデミー」



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胡麻由来の成分、盲信して大丈夫?




少し前からテレビのCMでもよく見かける胡麻の健康食品。

胡麻の成分セサミンは体内の活性酸素を減らす等の効果があると注目されていますが、中医学の考えでは、実はすべての人に良いというわけではないのです。
前回の八網を思い出してください。

西洋医学中心の社会では、とかく原因を一つにすることが多いです。
「この成分が足りない」「だからこの薬を飲めばいい」など。

そんな流れでマスコミもすぐに、「セサミンは生活習慣病の予防や美容やアンチエイジングにいいよ~」と、この一つの成分に注目しがちですが、一つだけっていうのは、漢方の本筋から外れています。

たとえば胡麻は、虚証(陰血不足・いんけつぶそく)の人には効果がありますが、実証の人には良くないでしょう。

もともと中医学では、腎に水が溜まっている(下焦湿滞・げしょうしつたい)時や下痢があるときは胡麻を食べてはいけない、というルールがあるのです。

実証の人が胡麻を取り過ぎると、疲れやすいなどの症状が反って出る可能性が高いです。ですから、テレビで〇○がいいよ、と言っていても100%誰にでもいいわけではありません。

中医学「八綱弁証」の考え方を学ぶと、自分だけでなく周りの人たちにも、合う食材や合わないサプリなどについてばっちりアドバイスできるようになります。

そのためにも、中医学を基礎から学んでいきましょう。




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八綱弁証と仲良くなろう




頭痛や肩こりなど同じ症状でも、自分に効くと感じる薬が他人とは違ったり、体調が良くなると感じる食材が人それぞれ違ったりします。
なぜでしょう?

その理由は、漢方の治療原則の一つ「八鋼(はっこう)弁証」で説明できます。
陰陽、表裏、寒熱、虚実の4対8項目に基づいて病状を弁証する方法です。

厳密には、陰陽を二綱(にこう)、表裏、寒熱、虚実を六変(ろくへん)と言い、表裏は病気のある場所、寒熱は病気の性質、虚実は病邪の盛衰と体の正気の強弱を表し、陰陽はそれらを総括する概念です。

つまり表、熱、実は「陽」に属し、裏、寒、虚が「陰」に属します。

病状、病因、体質含めすべてについて、まず表裏、寒熱、虚実、陰陽のどちらなのかを見極め判別していく。

裏証だった場合、それは肺臓なのか、脾臓なのか、腎臓なのか、表証でも邪気なら風寒、風熱なのか、あるいは表には熱があるが、裏には寒があるのかなど、それぞれの判別がとても大切で、漢方治療には必要な知識です。

…複雑すぎる?
ことほどさように、人間の体は複雑なのです。
そして人間だけではなく、実は食物にも陰陽などに対応する性質があります。

体質に陽の多い人が陽に属する食べ物ばかり摂取して良いわけがなく、逆もしかり。たとえば苦瓜は清熱の効能を持つ野菜ですから、冷え性や気虚の体質には合いません。

冷え性や気虚など陰の多い人が、「(苦瓜は)抗酸化ビタミンが多いから癌予防になる、血液がサラサラになる…」等の情報に飛びついて苦瓜を無理して食べ過ぎると、気虚や冷え性の病状がますますひどくなります。

一つの成分や一つの薬、一つの野菜などで健康を守ろうとするほうが、自然に反していると言えるかもしれません。

八綱弁証の考え方を学べば、自分の体に合うもの、摂った方がいいものがわかり、毎日の食生活も自信を持って過ごせるでしょう。



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熱中症の治療と予防




アカデミーの卒業生と現在学習中の方を対象に「熱中症の治療と予防」と題し、Live特別授業(無料講座)を配信しました。

この時期特有の邪気を「暑邪(しょじゃ)」といい、暑邪は夏特有の邪気で、直接入裏することが大きな特徴です。

Live授業では、暑邪によってひき起こされる熱中症の予防と治療に繁用される「生脈散」を中心に、効果的な使用方法と注意点、特に合方の使用原則、熱中症を悪化させるタイプ、予防方法、などについて講義を行いました。

また、暑邪に湿熱や寒湿の邪気を伴う場合の注意点なども紹介しました。

ライブでご参加頂けなかった方には、ビデオで配信しました。

臨床現場で役立てて頂きたいと思います。


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小青竜湯?それとも葛根湯?それとも…?




中薬学や方剤学を学ぶと、効能書きに頼らずに処方できる範囲が広がりますし、患者さんの症状の改善も格段に期待できます。

たとえば、風邪のような症状だから小青竜湯(しょうせいりゅうとう)という処方にはなりません。

「風寒客表(ふうかんきゃくひょう)、痰飲停肺(たんいんていはい)」という病因病理であると弁証でわかれば、小青竜湯を使います。

つまり病気の場所が表だけでなく裏にもあり、病気の性質は風寒に属する(外側に風寒のものが入っている)、そして肺に痰飲もある(肺臓に水飲が入っている)という状態で、発熱と悪寒が同時に存在し、咳の痰の色が白く、鼻水が水っぽい状態。

これらが同時にある状態であれば、小青竜湯が適切だと言えます。

同じように咳で痰が多く発熱、悪寒があっても、それらが同時症状でない限り、漢方の専門家なら小青竜湯は使いません。

でも日本では、得てして花粉症なら小青竜湯を出されることが多いと聞きます。


目が充血して鼻水がドロドロの状態(熱の状態を表す症状です)でも、小青竜湯が処方されるようですが、これは適切ではありません。

問題は、患者さんの症状を「外寒」及び「内飲」などと判断する能力があるかどうかであり、たとえこれが正しく判断できても、方剤の小青竜湯あるいは葛根湯(かっこんとう)の配合を熟知していないなら、適切な治療はできません。

小青竜湯は「外寒内飲」という症状を治療するものですから、痰飲があり外寒にかかった場合は効きますが、「外寒」だけなら、「風寒感冒(ふうかんかんぼう)」となり、葛根湯などで治療する方がいいでしょう。


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国際中医師試験の合格発表

2015年5月30日、31日に開催した第4回、国際中医師試験の合格者が発表されました。

今回は80%を超える方が難関を見事突破。国際中医師の資格を取得しました。

本当におめでとうございます。

今後は漢方医療の専門家として、更なるご活躍を期待しております。

また、今回残念ながら不合格だった方も、勉強の土台はできていますので、次回の試験にぜひ再挑戦して下さい。

次回の国際中医師試験は2016年初夏を予定しています。

最後に、国際中医師試験を開催している世界中医薬学会連合会の陳(ちん) 副事務局長からアカデミーの受講生へメッセージを頂きましたので、ご紹介致します。





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朝鮮人参は万能薬?




漢方薬は、診断正しく適切な薬を処方できれば、本来はとても良く効くものです。
日本にも既にたくさんの良い漢方薬がそろっています。

でも、間違った見立てをすれば、効かないどころか悪化させることもあります。

たとえば、万能薬のように思われがちな朝鮮人参ですが、中国には、「人参既可以救人也可以殺人(人参は人を救えるし、病気を悪化もさせる)」という言葉があります。
物騒ですが、この言葉を漢方のプロたちは心に刻んでいます。

実証に朝鮮人参を単独に投与すると、病気をますます悪化させますし、朝鮮人参を適切に配合して活かされれば、虚証に属する病気の改善に非常に役立ちます。

効く漢方薬を出せるかどうかは、患者一人一人の症状の判別(証の見立て)を本当に正しくできるか、という、漢方のプロの腕にかかっています。


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効いても効かなくてもいいのが漢方のイメージ!?




「漢方薬はやはり中国にあるものの方が種類も多くて効くの?」という質問を受けることがあります。
いえいえ、そんなことはありません。
日本にも既にたくさんの良い漢方薬がそろっています。

これだけモノが行き交う現代において、漢方薬が効いたか効かないかの違いは、はっきり言って、薬が保管されている国によるものではありません。

ただ、一般的に、「効いても漢方、効かなくても漢方」とか、「効能がはっきりしないのが漢方」という見方があるようです。

期待に応えられず、期待もされずでは、せっかく日本にもいい漢方薬がたくさんあるのにもったいないです。

中国では長い歴史の中で、多くの臨床をもとに、見立てや弁証法、処方が編み出されながら、「これはいい、本当に効く」というものだけが自然と残り、それが現代の中医学の基本を成しています。

何千年も続いている伝統ある医学ではありますが、実はその中身は、常に進化し続けてきたのです。

ですから中国では、「(効かなくても)まあ、そんなものか」なんて受け止め方は、患者側にもあまりありません。効果がだすことができなければ、「この中医師は全然だめ」と烙印を押され、淘汰されていきます。

効く診断・処方のできる、治せる中医師でないと生き残れません。

つまり、効果的な漢方薬を出せるかどうかは、漢方を処方する人の腕次第なのです。

日本でも、漢方のプロがもっと増えれば、たくさんの患者さんの力になることができるように思います。

だから、私は「本当に効く、治せる漢方薬を処方できる」漢方のプロが日本でもたくさん育つことを願い応援しています。


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デキる漢方のプロが増えると いいことたくさん!




我々のアカデミーに興味を持って来てくださる方には、薬剤師さんの他にお医者さんも増えています。

「西洋医薬に伴う副作用に悩む患者さんたちのために、漢方使用で希望に応えてあげたい」、「慢性疾患や西洋医学で対応しづらい病気、病名がはっきりしないものや不定愁訴などの治療に役立てたい」と考えているようです。

私は、このことは本当に素晴らしいことだと思います。

最新の西洋医学の殿堂である大病院にいても、患者さんのために中医学についても正確に学ぼうという姿勢に感動しますし、また、漢方薬にはそれだけの力があるのだということを改めて感じます。

近年は西洋医学と中医学を併せた治療が行われつつありますから、医療関係者の皆さんにとって、漢方(中医学)の知識は今後ますます必要となるのではないでしょうか。

病院で先生方が漢方薬を的確に取り入れてくれることは、病気に悩む患者さんにとって朗報に違いありません。

また、漢方薬をきちんと扱えて地域の人々から信頼を得た薬局は、自然と他店との差別化につながりますし、漢方のプロとしての実力をつけた薬剤師さんは、漢方相談薬局として独立する道も選べます。

このように優秀な漢方のプロが増えることは、社会にとっても個人にとっても「すごくいいこと」だと思うのです。

このことこそが、我々が国際中医師アカデミーをつくった理由です。

実力のある漢方のプロになりたい方をこれからも全力で応援していきます。


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漢方のスペシャリストになるには?




現代はインターネット上にも漢方の情報はあふれています。
ネット上の漢方情報は、一般の人が知りたいと思って調べるにはとても便利なものです。

でもあなたが漢方のプロとして、漢方を患者さんの症状を分析して治す武器としたいなら、ネット情報だけでは不十分です。

もし専門用語の意味が正確にわからなければ、ネットから得た情報を誤って理解してしまったり、わかる部分だけを読んで独自の解釈で処方することにもなりかねません。

漢方薬は「薬」ですから、このような理解で処方するのはとても危険な行為です。

本当に治せる力をつけるには、漢方の考え方を基礎から系統的に積み上げ、どんな症状をも分析できるだけの弁証に関する知識と、その知識の使い方(漢方の思考方法)を学ぶことに尽きます。

漢方の思考方法などを身につけるのは簡単な道ではありませんが、でも一旦それを身に付けてしまえば、学んだ中医学の知識を更に深く広く活用できます。

また、持続的に中医学の勉強もできるようになります。

そして何より、本当に一生、患者さんの力になれる仕事を続けられます!

漢方のプロとして成功する力をつけたい方、一緒に頑張りましょう!

中医学の活用方法とは?↓↓ (医師、薬剤師の方必見です)

http://www.iatcm.com/tuyomi.html



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