頭痛や肩こりなど同じ症状でも、自分に効くと感じる薬が他人とは違ったり、体調が良くなると感じる食材が人それぞれ違ったりします。
なぜでしょう?
その理由は、漢方の治療原則の一つ「八鋼(はっこう)弁証」で説明できます。
陰陽、表裏、寒熱、虚実の4対8項目に基づいて病状を弁証する方法です。
厳密には、陰陽を二綱(にこう)、表裏、寒熱、虚実を六変(ろくへん)と言い、表裏は病気のある場所、寒熱は病気の性質、虚実は病邪の盛衰と体の正気の強弱を表し、陰陽はそれらを総括する概念です。
つまり表、熱、実は「陽」に属し、裏、寒、虚が「陰」に属します。
病状、病因、体質含めすべてについて、まず表裏、寒熱、虚実、陰陽のどちらなのかを見極め判別していく。
裏証だった場合、それは肺臓なのか、脾臓なのか、腎臓なのか、表証でも邪気なら風寒、風熱なのか、あるいは表には熱があるが、裏には寒があるのかなど、それぞれの判別がとても大切で、漢方治療には必要な知識です。
…複雑すぎる?
ことほどさように、人間の体は複雑なのです。
そして人間だけではなく、実は食物にも陰陽などに対応する性質があります。
体質に陽の多い人が陽に属する食べ物ばかり摂取して良いわけがなく、逆もしかり。たとえば苦瓜は清熱の効能を持つ野菜ですから、冷え性や気虚の体質には合いません。
冷え性や気虚など陰の多い人が、「(苦瓜は)抗酸化ビタミンが多いから癌予防になる、血液がサラサラになる…」等の情報に飛びついて苦瓜を無理して食べ過ぎると、気虚や冷え性の病状がますますひどくなります。
一つの成分や一つの薬、一つの野菜などで健康を守ろうとするほうが、自然に反していると言えるかもしれません。
八綱弁証の考え方を学べば、自分の体に合うもの、摂った方がいいものがわかり、毎日の食生活も自信を持って過ごせるでしょう。
漢方の勉強は「国際中医師アカデミー」