「漢方薬はやはり中国にあるものの方が種類も多くて効くの?」という質問を受けることがあります。
いえいえ、そんなことはありません。日本にも既にたくさんの良い漢方薬がそろっています。
これだけモノが行き交う現代において、漢方薬が効いたか効かないかの違いは、はっきり言って、薬が保管されている国によるものではありません。
ただ、一般的に、「効いても漢方、効かなくても漢方」とか、「効能がはっきりしないのが漢方」という見方があるようです。
期待に応えられず、期待もされずでは、せっかく日本にもいい漢方薬がたくさんあるのにもったいないです。
中国では長い歴史の中で、多くの臨床をもとに、見立てや弁証法、処方が編み出されながら、「これはいい、本当に効く」というものだけが自然と残り、それが現代の中医学の基本を成しています。
何千年も続いている伝統ある医学ではありますが、実はその中身は、常に進化し続けてきたのです。
ですから中国では、「(効かなくても)まあ、そんなものか」なんて受け止め方は、患者側にもあまりありません。効果がだすことができなければ、「この中医師は全然だめ」と烙印を押され、淘汰されていきます。
効く診断・処方のできる、治せる中医師でないと生き残れません。
つまり、効果的な漢方薬を出せるかどうかは、漢方を処方する人の腕次第なのです。
日本でも、漢方のプロがもっと増えれば、たくさんの患者さんの力になることができるように思います。
だから、私は「本当に効く、治せる漢方薬を処方できる」漢方のプロが日本でもたくさん育つことを願い応援しています。