卒業おめでとうございます。次は・・

昨年末から、アカデミーの卒業試験である「中医臨床総合課程試験」に合格し無事卒業された方達は、2013年5月に開催する国際中医師標準試験に参加されるために、猛勉強をされています。
昨年、得意な教科は早く学習を進め、苦手な教科をじっくりゆっくり勉強できるよう各教科の学習日程の解除を行ってから、ご自身で予定をたて勉強されています。
中医学の基本的な理論を習得するのは、容易なことではありません。ましてやそれを臨床現場で応用させるのは、根気よく学習を積み重ね、同時に「人」を見る力を養わなければなりません。
病気で悩む方々の治療の選択肢のひとつとして「漢方薬」が大いに役立つよう、受講者の皆さんを応援したいと思っています。

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花粉症の中医学による治療原則

花粉症の主症状はクシャミ、鼻づまり、鼻水が多いなどですが、体質により伴う症状が異なります
中医学では、症状の特徴及び伴う症状により、処方した内容を決定します。例えば、鼻水から見ると、透明で水のような場合と、黄色で濁っている場合の処方は異なります。
鼻水が透明で水のようであれば寒に属し、鼻水が黄色で濁るようであれば熱に属する証候の可能性が高く、しっかり見極めなければなりません。
また、随伴症状などの情報を分析することも大切です。例えば肺の宣発という機能がどのぐらい故障しているか、痰湿がどのぐらいにあるのかなどを総合的に判断する必要があります。中医学理論をきちんと勉強して、中医学の分析方法及び判断原則などを身につけなければ、診断に必要な分析が難しくなる他、誤治(誤った治療)によって他の病症をひき起こし計り知れない被害を与えてしまいます。

国際中医師アカデミー

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花粉症の元凶?

毎年、春の訪れと共に「花粉飛散情報」がニュース番組で伝えられます。
花粉症の方はもとより、そうでない方も「今年から発症するのでは・・?」と、気になってしまいます。
花粉症を発病させる原因は、もちろん「花粉」ですが、中医学では体の自浄能力と回復力が低下しているとも考えています。
多くは、花粉から身を守り体内への侵入を防ぐことを目的に治療されますが、どうやらそうれだけでは完全に治癒には至らない場合があるようです。
自浄能力と回復力は、肺臓の宣発粛降、脾臓の水穀運化、腎臓の蔵精主水などに強く関与し、発病するときに、肺脾腎の虚弱だけではなく、気滞痰阻及び瘀血という病理状態も見られますので、これらを考慮して方剤を選択する必要があります。

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脳梗塞から認知症へ 父のこと4

複方丹参片と杞菊地黄丸を一緒に服用させた目的は、「補腎活血」です。
父は88歳になり、腎精不足、肝陽上亢の状態とともに、瘀血もあります。脈は上実下虚の病理状態を反映しています。
中医学で肝陽上亢の治療方法は比較的多く、診断と治療に誤りが生じやすい証候です。肝陽上亢の基本病理は、「本虚標実」です。
私は、杞菊地黄丸で本虚(肝腎不足)を治療して、複方丹参片で実を治療することにしました。即ち中医学の扶正袪邪の治療原則に従いました。
もし、私が、活血だけを目的に複方丹参片だけで治療すれば、肝腎を傷つける恐れがあり、また杞菊地黄丸だけで治療すれば、瘀血を酷くさせる恐れもあります。
中医学長く勉強し応用して、効果的に父の症状が改善することができたことは、非常にうれしいです。

中医学のインターネット学習 は、主に基本概念、中医学の考え方、弁証の基本、論治の要点を学ぶことにあります。
複方丹参片
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脳梗塞から認知症へ 父のこと3

複方丹参片の構成生薬は、丹参、田七人参、冰片です。丹参は微小循環を改善し、瘀血の治療に優れ、瘀血を除いても気血を傷つけない特徴があります。薬理研究で、丹参は血流の流動が緩慢であったり、また瘀滞の血細胞を早く流し、毛細血管の数が顕著に増加する働きがあることが証明されています。田七は瘀血を治療しながら、止血作用に優れ出血の病症も治療します。冰片は開竅醒神の効能をもち、神昏・痙厥への治療に常に麝香と配合して用いられ、意識の回復に良い効果が期待できますが日本では取扱いはありません。この配合は本当に素晴らしいです。
複方丹参片は活血開竅の効能をもち、微小循環の改善に役立つと考えられます。
次は、なぜ複方丹参片と杞菊地黄丸を一緒に服用させることにしたか説明します。

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脳梗塞から認知症 父のこと2

中国は春節を迎えていましたが、薬を手に入れる事ができたのは幸いでした。今回、父の治療に用いた薬は2種類で、複方丹参片(ふくほうたんじんへん)と杞菊地黄丸です。
服用一日目から、父の認知症の症状に変化が現れ、まずはっきりものが見えるようになり、頭がすっきりしたようになり、三日目でほぼ病気前の状態まで回復しました。

本人が言うには、頭の中でぐちゃぐちゃしていたものが、すっきり整理されたように感じたそうです。

認知症の予防では、主に補腎活血が考えられますが、今回の場合では、複方丹参片で心竅が開かれ、心の主神(神を主る)の機能がかなり回復したのだと考えられます。

次のブログでは、複方丹参片と杞菊地黄丸の構成生薬を紹介します。

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脳梗塞から認知症 父のこと 1

2月6日の朝、私の父が脳梗塞で倒れ、病院に救急搬送されました。
当初、意識はありましたが、体を自由に動かすことができず、次第に意識不明になり混沌とした状態におちいりました。
急遽、帰国し病院に駆けつけましたが、この時既に高熱、譫語、躁動などがみられ、危険な状態です。
病院の処置のおかげで幸い意識を取り戻しましたが、同時に認知症の症状が現れ、目を離せないようになりました。しかし、これ以上変化がみられないので、思いきって父を退院させ漢方薬で治療することを決意しました。
結果としては、非常に良いものでした。昨日は、近くのスーパーへ一緒に買い物にも行くことができたのです。一時は、最悪の事態を想定しただけに、嬉しいの一言です。
この経験を次回のブログで紹介したいと思います。

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冷え症5 坐骨神経痛と瘀血

テレビ朝日の番組で、北里東洋研究所の先生が紹介した坐骨神経痛による冷え症が印象に残りました。まず、冷え性による危険性は、足への血液供給が少なくなり足指などが壊死をおこし、最悪の場合は手術で切断せざるを得ないことです。
中医学では、この病気を「脱疽(だっそ)」といいます。寒湿が血脈を阻害して、酷い瘀血を引き起こし、壊死が生じると考えています。
国際中医師試験では、「脱疽」に関する問題がよく出され、代表的な治療薬は「陽和湯(ようわとう)」を用います。陽和湯の構成生薬 は、熟地黄・麻黄・炮姜各・鹿角膠・白芥子・肉桂・生甘草です。陽和湯の構成生薬で興味深いところは、熟地黄と麻黄の配合にあります。このような病証についても国際中医師アカデミーでは、学習して頂いています。

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冷え症4 末端の冷え体幹は熱い。薬は?

四肢末端の冷えと体幹が熱い方は、ストレスの影響などから、陽気が閉じ込められて四肢に到達できず、四肢の冷えが起きます。治療薬は、四逆散(しぎゃくさん)で、柴胡・芍薬・枳実・甘草の4味で構成されており、日本の病院でも取り扱いわれている方剤です。
四逆散は、調和肝脾剤に属し、肝気鬱結や脾虚不運の治療に用いられ、熱厥のような冷えのほかにも「肝脾不和」による消化不良、下利などの治療にも用いることができます。
病理を理解し適切な方剤を選択する力は、理論の学習が土台になります。
読んだらわかった、聞いたらわかった・・気がする」では、誤用に繋がりかねません。

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冷え症3 末端の冷え体幹は熱い

冷え症を訴える方の中には、四肢末端が冷えるものの、体幹は体温が高い場合があります。
このような方が冷え症の相談に来られたらどうしますか?
中医学では、「熱厥」という病症があり、主に気滞によって生じると考えられています。四肢末端の冷え、体幹の体温が高い、口渇、便秘、尿が黄色といった特徴があり、冷えの特徴は四肢末端の温度が低いのにも拘らず、寒さを感じていないことです。
症状を訴える方の多くは女性で、精神的な影響を受けることで気の流れが滞り、熱が体幹に蓄積し、陽気が末端に届かないことが病理特徴です。
手足が冷えますか?」だけで 問診が終わらないよう気を付けてください。

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