月経不順

正常の月経周期は、25~30日の一定した排卵周期に従って起こり、月経期間は3~7日間続くものとされ、この周期が数周期乱れると月経不順といいます。月経不順では、周期の間隔が短過ぎる場合を頻発月経、長すぎる場合を希発月経といいます。
 中医婦科学では、正常の月経周期は平均28日、最短でも21日、最長35日とされています。月経周期が21日より短い場合を「月経先期」、月経周期が35日より長い場合を「月経後期」としています。

また、月経先期と月経後期が入り混じって月経周期が不規則となる場合を「月経先後不定期」といい、周期が7日前後、早まったり遅れます。
 月経先期と月経後期、月経先後不定期には、期間の他に経血色や量など特徴があり、治療方法も異なります。
国際中医師試験では、婦人科の問題も出題されます。練習問題の学習を通じて「月経不順」の漢方の診断ポイント、漢方製剤(方剤)の使用ポイントなどを掴んでいただければと思います。

Posted in 中医学アカデミー, 中西医結合 | Leave a comment

弦脈は力がある脈か

国際中医師アカデミーでは、「学習内容についての質問」フォームがあり、解決できない内容があればこのフォームから質問を受け付けています。
とてもよい質問がありましたので簡単に紹介したいと思います。
方剤学で「痛瀉要方湯」の主治に関する質問がありました。この方剤の脈象は、「緩弦」ですが、質問者の理解では、緩脈は力の無い脈、弦脈は直線的な力のある脈と理解していたとありましたが、弦脈も緩脈も、脈に力があるか否かに関与する脈象ではありません。そのため当然同時に存在します。
肝鬱脾虚を反映する緩弦脈を正確に捉えることが、中医の弁証論治を行う場合の臨床ミスを犯す可能性を防ぎます。

Posted in 中医学アカデミー, 過去問題解説 | Leave a comment

褥瘡(とこずれ)の中医学の治療

今朝のNHK「おはようにっぽん」で、自動車製造技術を医療や福祉の場で役立てる取組が紹介されました。その中で、車の部品のひとつに熱を伝える特殊なゴムがあるそうです。これを応用して体の下に敷き、寝たきりの方の褥瘡の予防するために、試験的に利用し始めたそうです。

一般的にはあまり知られていませんが、漢方には外用薬もあります。
そのひとつに『太平恵民和剤局方』に記された「神仙太一膏」があり、現在は、神仙太乙膏(しんせんたいつこう)として販売されています。
神仙太乙膏は、黄色でカレーのような独特の匂いがありますが、養血活血、清熱除湿などの効能をもち、褥瘡(とこづれ)や火傷などに塗布すると大いにその効果を実感している方が多いです。

Posted in ブログ, 漢方薬 | Leave a comment

衆議院選挙「声がかすれる」

選挙戦に幕がおり、新たな内閣が誕生することになりました。
12月4日に選挙の公示が行われ、各党の党首をはじめ、立候補者の舌戦が繰り広げられました。結果はどうあれ、昨日の開票速報で記者会見に応じる党首の皆様方、一様に声がかすれて疲労の痕跡を感じました。
中医学では、「声がかすれる」病理を「金破不鳴(金、破して鳴かず)」と言い、この疲労の痕跡は、肺気が損傷したために出現する症状の一つです。肺気がかなり消耗されて喉へ津液を運ぶ力が弱く陰液が上行できず咽喉部を潤わすことができなくなるために声がかすれてしまうと考えられています。
この痕跡に、疲れ、呼吸が荒くなる、水を飲んでも喉の乾きが改善されないなどの症状を伴うなら、肺腎虚の可能性が高いと思われます。また、元々脾気が弱いなら、下利、食欲低下、食後にお腹が張る、げっぷなどの症状が顕著に現れるかもしれません。
遊説のため、分刻みの多忙なスケジュールで数多くの演説をこなしたのですから、「声かすれ」は謂わば政治家にとって勲章のようなものかもしれませんが、肺気を始め肺腎及び肺脾の気を損ねたバロメーターです。
選挙が終わった今、早く肺腎及び肺脾を補う漢方薬で損傷された体を癒してもらいたいです。

Posted in ブログ, 中西医結合 | Leave a comment

「公示と告示との違い」から思いついたこと

12月9日(日)テレビ朝日放送の池上彰さんの番組をみて、「なるほど・・」と感じました。
池上彰さんの番組では、今まで知らなかったことを教えてくれる貴重な番組で、機会があればなるべく見るように心がけています。
昨日は、選挙前ということで「公示」と「告示」の違いを説明していました。
この言葉の意味を理解した上で、用いている人はどの程度いるのでしょうか。少なくとも私の周りの人に尋ねたら、正確には答えられませんでした。
これによく似たことは、中医学でもしばしばあります。
改めて、問いかけられると正しく説明できなかったり、曖昧な返答になることは、誰でも経験があると思います。
中医臨床である弁証論治では、このような曖昧な理解で診断や治療を行えば、ミスを生じる恐れがあります。
国際中医師アカデミーは練習問題を解き進める学習方法を取り入れ、正誤判断、穴埋め問題などを解くことによって、曖昧な理解から中医の診断や漢方処方の応用に役立てられる「正しい理解」に繋がります。

Posted in ブログ, 中医学アカデミー | Leave a comment

嬉しいお知らせ

国際中医師アカデミーは、中医学の基本から学習を提供したいと思い、2012年9月に開講しました。
本日、「中医臨床総合課程試験」に合格され、アカデミーの第一号の卒業生が誕生しました。
学習期間中は、長い長い孤独な一人旅、目標に向けて大変な努力をされたと思います。
受講されている方の8割が社会人です。多忙な環境はどなたも一緒です。
その中で、学習をやり遂げるのは本当に敬服に値すると感じています。
次は、2013年5月の国際中医師標準試験が待っています。
受講を終えた方は直近の試験開催まで、費用の負担なくシステムをご利用頂き、試験準備に活用して頂けます
このオンライン中医学の学習システムは中医学の知識を得ると共に、生徒さんの忍耐力と挑戦力も育て、自分がどのぐらい理解しているか、どの問題点があるかなどを常にチェックすることが出来る環境を提供しています。
この学習は、参加すればするほど「知らなかったこと」に気づくことができます。実力を蓄えるには、「気づくこと」が大切です。
中医学の基本を習得し、今後さらに発展されることを心から祈念します。

Posted in 中医学アカデミー | Leave a comment

日本に戻ってきました

昨日、日本に戻りました。
今回は北京に一週間滞在し、世界中医薬学会聨合会 を訪問てきました。
聨合会では、今後の中医学の学習方法の改革、国際中医師のブランド化について、中医学教育者と研究者などと検討しました。
国際中医師アカデミーの教育システムは 、大変よく評価して頂きました。しかし更に中医学のスペシャリストを育成するために改善すべき意見も多く寄せられました。

この様なシステムを、漢方を学ぶ現場で実現したことに、聨合会の先生方も興味津々の様子でした。
これから、今までの努力と成果を踏まえて更なる改善をすすめ、日本での中医学の教育システムを充実したいと考えています。

Posted in 中医学アカデミー | Leave a comment

漢方の力の証明

自分の中医学のレベルを証明するにはどうすればよいかと質問されました。
現在の日本の現状では、二つのことが必要であると考えています。
一つは国際中医師の試験を合格することです。
一つは、中医薬理論を活かして、効果的に病気を治し実績を積むことです。

国際中医師標準試験は、日本において中医学を系統的にまた専門的に学習したことを証明する、唯一の試験です。
そして、実際の弁証論治(治療)は、中医学理論の学習が土台となって、効果的な治療を提供できるようになります。

国際中医師アカデミーでは、中医学の実力が高め、良い治療が提供できるようになりたいと願う方達が日々頑張っています。

Posted in 中医学アカデミー | Tagged , , , | Leave a comment

眼瞼下垂、ハードコンタクトのせい?

昨日の夜のテレビ番組で、ハードコンタクトレンズの誤使用によって、眼瞼下垂をひき起こし、実年齢より「老け顔」になった方を紹介していました。
コンタクトレンズの誤使用以外にも眼瞼下垂で悩む方は少なくありません。
中医学では、瞼(まぶた)は脾と強く関連があり、瞼の下垂の原因のひとつに脾気虚が考えられます。
脾気が弱く、脾の上昇する性質が発揮されないと精気が瞼に届かず発生します。このタイプの方は、瞼の下垂の他に胃や腎臓の下垂や、美容で言えば年齢に伴わない頬のたるみ等で悩んでいる場合もあります。
その他に常に疲れやすい、食欲が細く顔色に艶が無く元気がない、などなどがあれば、この病証を脾気不昇といい、補中益気湯や帰脾湯などを主に漢方薬を利用された方がよいでしょう。

Posted in 中医学アカデミー | Tagged , , , , , | Leave a comment

成人ぜんそく 漢方からどう考える?Ⅲ なぜ疲れた後の発症が多い

成人喘息の病理特徴は、肺気と腎気の協力関係が崩れて、痰と気が肺に詰まることで生じます。
疲労が重なった時は、特に「肺脾腎」の気を其々傷つけ、主に肺失宣降、腎不納気、痰涎壅盛、上実下虚などの病理状態を引き起こします。

肺気を傷つけると、宣発と粛降の力が弱くなり、痰が肺に詰まりやすくなり、呼吸困難、カゼをひきやすくなり、汗が多く出るなどの症状がみられます。

脾気を傷つけると、運化の力が弱くなり、食欲不振、軟便、痰が多くなる、疲れやすい、食事後にお腹が脹るなどの症状が見られます。

腎気を傷つけると、主に納気、骨と二便を主る、という功能に影響が及び、呼吸困難、腰の痛み、頻尿、排便不利などの症状が見られます。

Posted in 中医学アカデミー | Tagged , , , , , | Leave a comment