夏になったら六味丸で副作用?

こんな話を聞きました。
平素から陰虚の方で六味丸を勧められて服用を開始してから、腎陰虚の症状がかなり改善されたそうです。ところが、今夏になって腎陰虚の症状が再び現れ、更に排尿不利、食欲が低下する、五心煩熱が悪化し、六味丸の効果が悪くなってきたと言うのです。
この方は、六味丸が変質したのか、患者が六味丸をきちんと飲んでいたか、製造メーカに問題があるのではと思い、今回服用した六味丸のロット番号を調べて、製造メーカに問い合わせようと考えています。
このようなことで悩むことはよくあるのではないでしょうか?

解決方法としては、まず患者の舌を見ることが重要です。
色が紅いか淡白か、苔は薄いか厚いか、膩苔か乾燥か、歯痕があるか否かなどを確認して、その上で患者の症状に合わせて分析することが大切です。
舌診の状態と症状の特徴から、病因病理の変化までを正確に判断することが非常に重要です。この場合の分析要点は陰虚が本当に残っているか、夏に罹りやすい邪気は何か、その邪気の特徴が何かを明確にして、今の病理特徴は何かを判断しなければなりません。
また、六味丸の配合特徴から、使用禁忌の場合はどのような状態か、様々な角度から探究する必要があります。
そうでなければ、臨床では症状の流れをつかむことができません。

もし腎陰虚がまだ見られるなら、配合の特徴から六味丸の使用禁忌が何ですかなどを探求しなければ、この症例の流れを掴めることができないと思われます。
効果が得られなかったからと言って、メーカや患者の服用に問題があるなどと一方的に考えるのは、医療人としてあってはならないと思います。

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国際中医師アカデミーのパンフレット

国際中医師アカデミーのパンフレットができました。
こちらのフォームよりお申込頂きますと、パンフレット(PDF形式)をダウンロードできるアドレス(URL)をお送り致します。

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熱中症の予防に「水」だけで良いのか?

連日、熱中症の予防に水をこまめに飲むこと、水に砂糖と塩を加えた「経口補水液」の作り方などなどのニュースが報じられています。
中医学では、夏は「暑邪」によって体が傷つけられると考えています。「暑邪」は夏の熱い時期にしか見られない邪気のひとつで、体へ大きな影響を及ぼします。
暑邪は「湿」と「熱」が混ざっているもので、津液と気を傷つける特徴があります。
湿邪は脾胃を傷つけますので、過度に水分を摂取すると脾胃に負担をかけ、脾の働きのひとつである運化作用に影響を及ぼします。
また、大量の汗と共に「気」がたくさん消耗するので水液の代謝にも影響が生じます。

中医学からみると平素から気虚や脾胃弱の方は、過度に水分を摂取すると、かえって体調を崩しかねません。中医学には、このような方に対応できる素晴らしい知恵があります。

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癌を患った方のおはなし

知人から癌を患った友人の話を聞きました。
60代の彼は前立腺癌で当初、抗がん剤による治療などを行いましたが、次第に日常の生活で様々な不便が生じるようになりました。
この方の治療過程及び心理的な悩みを紹介したいと思います。
病気を患う方やそのご家族がそうであるように、少しでも「治したい」という願望から彼は、常にインターネットを通じて多くの情報を集めています。
いろいろ調べるうちに化学療法と距離を置きたいと考えるようになり、漢方薬によってガンと闘う力を高められないかと考え、漢方薬の服用を始めます。
服用を始めてから、体調は随分好転しましたが、病院の検査で腫瘍マーカーの数値が上昇したり下降したりを繰り返したため、不安が募り腫瘍マーカーを下げたい思いで再び化学療法を十回目まで受けました。
その結果、体はひどく衰弱し歩けないほど悪くなり、食欲は殆どない、便秘が酷いなどの状態となり、以前とはまるで別人の様相になりました。
腫瘍マーカーの数値にこだわり自分自身の身体の声に耳を傾けられず、今非常に悔やんでいます。
もっと適切なアドバイスができる方に巡り合っていればと、思わずにはいられませんでした。

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無料講座を開催しました!

2013年7月13日午後18時15分~20時まで、「小青竜湯を使ってはいけないケース」と題した講義と
当アカデミーの説明会を開催しました。
参加された方は、現在アカデミーの受講者とアカデミーの学習に興味を持たれた方々です。
小青竜湯は、ドラッグストアでも手軽に購入できる漢方薬ですが、本来の処方の構成を考慮すれば、
適切にアドバイスが必要な漢方薬ですし、誤った使用によって副作用も生じます。
講義中では、弁証論治の大切さも説明しました。弁証論治では理論弁証、臨床弁証の段階があり、これは論治を効果的に行う前提になり、中医臨床において患者さんの苦痛を和らげる上で欠かせません。
また、中医学のレベルを短時間に挙げるための勉強の仕方を紹介しました。

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中医学の学習

漢方薬を扱う方でも中医学の学習教科をご存じない方がいて、時々びっくりさせられることがあります。
中医学の学習教科は、先ず中医基礎理論・中医診断学・中薬学・方剤学・中医内科学の5教科を履修する必要があり、その上で更に古典などを学びます。
中医基礎理論は、陰陽五行、臓腑、病因病理の理論を生かして、正常な機能に異常が生じた場合にどのような症状が現れるか等を推測する能力を養う科目です。
例えば、脾虚の場合は疲れがみられるが、溏泄が現れないこともあります。何故なのか、脾のどの機能が故障すると、このような症状が見られるのか。何故脾虚の場合に腹痛とともに泄瀉がみられるか等、それらの病理結果を見つけるためには分析能力が必要です。
中医診断学は、症状の特徴から病理病因等を掴む学科です。例えば、目の充血に対して、肝陽上亢もあれば、肝火上炎もあります。また肺熱壅盛もあれば、腎陰虚もあります。それぞれの病理結果により目の充血という特徴もかわります。
従って、中医基礎理論と中医診断学の関係は補完的、分析方向性が正反対になります。
中医基礎理論は、皆さんお好きな学科ではないようですが、中医臨床を実践する上では、特に学習を積み重ねる必要があります。国際中医師アカデミーの学習システムには、その特徴を掴んでもらうために、多くの問題を用意しています。

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暖かいタオルで拭きましょう

今年の夏は記録的な暑さが続き、既に体調を崩している方も多いようです。
こんな暑い日には、冷たいビールやアイスクリームが美味しく感じます。先日テレビ番組で冷房の効いたコンビニに入店したお客さんをウォッチングしたところ、上半身の体温は下がらず下半身の体温が下がっていました。興味深い結果です。
汗をかいた際に暖かいタオルで拭くと身体の熱を発散させやすくなります。中医学でも同様に汗をかくこの時期に暖かいお湯を飲み汗を出すことで陽熱を外へ出すという考えがあります。
暑さが厳しいからといって冷やすばかりでは、体内に留まった熱を外に出せず、気陰を消耗させます。
予防として西洋人参をお茶にして飲むことで、清熱しながら気陰を守ることができます。
奇麗な花

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夏になったら眠れない

夏は睡眠不足になりやすい季節です。「暑いから」、だけではありません。
中医学からみると、この季節に寝つきが悪くなる・眠れずイライラ・落ち着かない等の症状を伴う場合、暑熱が心(しん)に影響を及ぼすことで生じた病理現象で考えます。
五行学説で心は火に属する臓腑で、「暑邪」が侵入しやすい臓でもあります。冷たいものの多飲多食によって、心の陽気が押さえられ、動悸、不安等の症状が誘発されます。
良い汗を出すことで、心に入った暑熱を外に出すという治療方法も有効です。
しかし、不眠の治療はいろいろな病が隠れている場合もありますので、問診力と分析力が試されます。

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生脈散と清暑益気湯との鑑別

今日は、国際中医師アカデミー受講者の皆様に「生脈散と清暑益気湯との鑑別」についてお知らせしました。
暑邪及び方剤の特徴から暑い夏に両方剤の使い方、合方の方法などを助言しました。
受講されている皆様は、ご自身の高い目標に到達するために、努力を惜しみません。我々が提供する学習システムで中医学を学びながら、臨床の複雑な状況に対応する能力を高めるため、より実践的な情報が得られれば、進歩が更に早いと考えています。
卒業の方にも送りましたので、これから多くの患者に効果的に漢方薬を出せるように応援しています。

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合格、おめでとうございます。

万里の長城 小

先に開催した国際中医師標準試験は全員が見事に合格されました。
おめでとうございます。
参加者の皆様には、通知書を郵送しました。お手元に届くまで今しばらくお待ちください。
「不到長城非好漢!」中医学の道のりはまだまだ続きますが、がんばりましょう!

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