最近、いじめから自殺に追い込まれた中学生の話題が気になります。この卑劣な行為が犯罪にまで及ぶ可能性があることが分かりました。「いじめ」という言葉は日本語を勉強したときに始めて触れた単語です。なぜ、礼儀正しく勤勉な日本人に、このようなことが起きるのか不思議でした。
中医学の治療方法の大きな特徴に、「本治」と「標治」があります。「本治」とは、病気の根本となる原因を治療し、「標治」とは、現れた現象を治療する意味を指します。
教育現場を蝕む「いじめ」の治療には、本治と標治が必要ではないでしょうか。この場合の本治の対象は子供達ではなく、教育システムや親の過度な干渉と学校側の悪い習慣にあります。教育現場では、ゆとり教育や平等だけを強調し、先生が子供たちを指導するにあたり親の過度な干渉を受けたり、また学校側の見て見ぬふりをする悪い習慣もあると思います。
人を尊敬する気持ちを育てぬまま成長すれば、痛みのわからない人間になります。そうなってからでは、どんな治療方法も役立たないでしょう。「いじめ」の現象が出てから対応する「標治」は一時に効果があるものの、いじめを生む土壌を治療する「本治」を行わなければ、何時までたっても治療効果は得られません。
甘やかされて育ち、競争力をまったく持たず、家でも学校でも悪いことをしても叱られず、人を敬うことも知らず、ぼんやり育った子供達は、社会の荒波に立ち向かうことができるのでしょうか。親も子もそして学校も自分の振る舞いを反省すべきです。