明時代の《益齢単》は、黄帝内経の考えを本に
長寿のためにまとめられた書物です。
《益齢単》では「六久」の概念が紹介されています。
1 久視は心血を損なう
2 久臥は肺と気を損なう
3 久立は骨を損なう
4 久行は肝と筋を損なう
5 久聴は精気と心神を損なう
6 久坐は肉と脾を損なう
今日は「久聴」について紹介します。
中国語で「久」は、時間の長さや過ぎるという意味があり、
久聴は音声を長時間集中して聴き続ける、
聞きながら「音」について分析を行う事が含まれます。
音楽は心を癒す、気分転換に良いとされる一方、
イヤホンを使って大音量の「音」が
直接耳に聞こえるような聴き方は久聴にあたります。
最近、電車の中でよく目にする光景ですが
長期間、このような習慣で「音」を聴き続けると
「精気」と「心神」を消耗するのではないか心配になります。
精気が傷つけばシミ・しわ・白髪・疲れがとれない・
頻尿精力低下・更年期障害など老化現象が早まり、
重い病気の発生に繋がりかねません。
また「神」が揺らぎ居場所がなくなると
不眠症や精神的な安定に欠け、些細な事で怒りっぽくなります。
本来、心の癒しになる音楽も聞き方次第で身体に圧力を加える結果を招きます。
養生の意味でも「過ぎたるは及ばざるがごとし」、
久聴による精気と心神を損なわないようほどほどにしましょう。