「ストレス」は、中医学で「肝鬱気滞」に属する病証を指します。
肝鬱気滞は、精神が安定しない、心配ごとが多く考えすぎる、イライラするなどによって起きます。
また病理特徴は、体内の気の流れが順調に調達出来ないことで発生しますが、気滞が発生する部位によって生じる症状に違い現れます。
■胸に気滞が生じた場合は、呼吸の乱れ、胸の張や圧迫感などの症状が見られます。
■頭に影響を及ぼす場合は、頭痛、頭が重い、視力が低下するなどの症状がみられます。
肝鬱気滞の影響は、胸や頭に多く、仕事の効率が低下します。
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<肝鬱気滞の漢方治療>
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肝鬱気滞とは、肝気疏泄という機能が故障し、体の気の流れが滞る状態となる病理を指しています。この病理特徴への判断要点は、症状の特徴に現れます。
気滞という病理状態はいくつかありますが、例えば、気滞の状態が治らないなら肝経鬱熱となる場合もあれば、元々脾胃気虚があれば、気滞が脾胃へ影響を及ぼし肝鬱犯脾となる場合もあります。
また、肝鬱気滞が酷い場合では、直接に肺へ影響を与え、肝気犯肺となることもあります。気滞が直接に血液の流れへ影響を及ぼせば、気滞瘀血となることもあります。以上の病理変化に対する治療方法は異なり、治療方剤も異なります。
例えば、肝経鬱熱による発熱の場合は加味逍遙散で治療します。
■肝鬱犯脾による泄瀉の場合は痛瀉要方で治療します。
■肝気犯肺による喘息の場合、五磨飲子で治療します。
■気滞瘀血による脇痛の場合、旋覆花湯などで治療します。
このように肝鬱気滞を治療する場合、肝鬱だけではなく、肝鬱気滞がどのような病理変化を引き起こしているかをチェックする必要があります。逍遥散或いは加味逍遙散で治療する傾向は、弁証論治の立場から見るとまだ不完全だと考えられます。