胃癌の術後に六君子湯?


知人が胃がんの手術を受けました。幸いなことに開腹せず腹腔鏡手術でしたので、思いのほか早く退院ができたそうです。退院の前に先生から、「六君子湯(りっくんしとう)」を処方されたそうです。先生の説明によると六君子湯は腸の状態をよく整えるから飲むように言われたそうです。
しかし、手術後の病理特徴は、主に虚実混雑の状態が多く見られます。この場合の虚は、気虚、血虚、
陰虚、陽虚で、実は主に瘀血があります。
六君子湯の効能は「脾胃止嘔」、脾胃気虚で痰湿を兼ねるものに用いる方剤で、痰湿を除去する特徴がありますが、陰虚、血虚には相応しくありません。
知人の状態を確認せず、腸を調えるために六君子湯を飲みなさいというのは、危険な行為です
処方を出す前に、病因病理の判断をして適切に用いて欲しいと強く願います。

About 中医学アカデミー

90年に日本へ来日して以来一人でも多くの方へ中医学の正しい知識を身につけて頂きたいという思いで普及活動を行って参りました。 日本中医薬連合会においては多くの国際中医師を輩出してきました。 この日本で優秀な漢方医がたくさん育つことが私の夢であります。 中医学アカデミー http://www.iatcm.com
This entry was posted in 中医学アカデミー, 漢方薬. Bookmark the permalink.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)