治風剤の一つで、湿疹やアトピー性皮膚炎でよく使われる「消風散(しょうふうさん)」は、メジャーでありながら奥の深い漢方薬です。
文字通り、風邪(フウジャ)を消すわけですが、“消風”ということだけを頭に入れて扱うと、とんだ誤用を招きます。
「消風散」を使うには、風邪(ふうじゃ)が体の中ではなく皮フにあることが大前提で、主に皮フに風熱と風湿がある場合の治療に向いています。
病気が浅いところにあるときに使うものですから、けいれんやリュウマチには使えません。
これらについては、中医学基礎理論の解釈で学ぶことができます。
「消風散」という漢方薬は、寒性、温性、補血の作用を併せもつ構成になっています。
もともと風邪(フウジャ)は化熱しやすいため、寒性の薬(熱をさます)が中心になりますが、温性は発散する力が強いので、風邪をより早く外に追い出すために使われます。
これは漢方の「温寒併用」という配合方法の一つです。
さらに、血液が良い状態になると風邪(フウジャ)は自然に消滅していくので、その観点から「消風散」には補血・活血の生薬も配合されており、とても優れた漢方薬です。
ただし、配合にはバランスがとても重要になります。
アトピーは非常に複雑です。たとえば、患者さんに熱が多い場合、消風散に清熱薬を加味しますし、熱がほとんどない場合は、消風散に温性薬を加味します。血虚がひどい場合には、四物湯(シモツトウ)を加味します。
問題は、熱の多い血虚の特徴を判断できないと正確な加減ができないということです。
「かゆみがある」場合は、風熱、血虚の病理状態を確認してから、効果的に消風散を使いましょう。
漢方の勉強は「国際中医師アカデミー」