慢性下痢症例の紹介



    松井先生の症例を紹介します。
 これから数回分けて、アレルギー疾患の漢方治療に
ついて紹介させていただきま す。皆さんにご参考になれればと存じております。
 
症例一、慢性下痢
 
女性 46才 
主訴:下痢数十年間
現病歴:  
  
数十年前から、いつもお腹がごろごろ いってガスがたまる。数年も前から、しょっちゅう下痢している。体が弱く、下利の前に下腹部の痛みまたは下腹部痛があり、冷え気味。一日何回もの水っぽい下 痢をし、非常に苦痛に感じている。疲れたり、ストレスにかかったりすると、症状が悪化することが多いという。

県立病院を受診し薬を服用するが効果 なし。しまいには神経のせいだから気にしないようにと言われる。 神経不安もあり、時々動悸がする。

舌診:淡白
治療:
  胃腸のアレルギーを判断し、アレルギーを治療する漢方薬を勧めた(紫蘇、胡桃、冬虫夏草等を中心とする処方)。2週間ほどで下痢が止まる。お腹がしょっちゅうごろごろ言うこともなくなった。現在も継続中。
解釈:
 
素晴らしい症例である。病気の期間が長いことが、虚証の可能性が非常に高い。
「いつもお腹がごろごろいってガスがたまる」は肝脾不和などの症状に似ている。
「疲れたり、ストレスにかかったりすると、症状が悪化する」は気血不足と共に肝鬱等の可能性があると考えられます。
 
脾虚により肝鬱を招くことで、肝鬱気滞と脾虚正衰の並立状態が生む。また痰湿をたくさん作ってしまうこ とで、アレルギー性胃腸炎の基本病理である。
 
この場合に、疏肝剤も単純な補脾剤も効かなく、検査でもなかなかわからない病気である。他の薬局では、四逆散などは最初は)よいが、すぐ効かなくなる。もし、参苓白朮散なら、効かないと思います。
 患者が実際に全部服用しているが、効かないから、すずらん薬局に見に行かれたようです。
 
アレルギー性疾患は繰り返し、症状が変わりやすく等の特徴があり、弁証論治では、素早い判断で適切な治療を行うのに非常に困難なことです。
 この症例の治療で、先ずアレルギー疾患の診断が先決で、次に正虚痰湿、肝鬱気滞の状態を認識できたことは
上手く治療につながったと考えています。
松井先生の薬局→すずらん薬局の情報:

http://www.pharmacy-suzuran.com/sick/manseinohifubyo.html
ご参考ください!

About 中医学アカデミー

90年に日本へ来日して以来一人でも多くの方へ中医学の正しい知識を身につけて頂きたいという思いで普及活動を行って参りました。 日本中医薬連合会においては多くの国際中医師を輩出してきました。 この日本で優秀な漢方医がたくさん育つことが私の夢であります。 中医学アカデミー http://www.iatcm.com
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