気虚か肝うつか。
病気というのは複雑な要因によって発症します。病因病理を理解しないと、病気の判断はできません。
問診でさまざまな角度から判断していくことになりますが、たとえば、ストレスによって疲れの症状がすぐ悪化するかどうかも、肝うつの判断基準になります。
シミが出てきた、やる気が急にガクンとなくなった…などというのも気虚の症状ではありません。
となると、使うべき薬は補中益気湯(ほちゅうえっきとう)ではありません。
肝うつの患者さんに朝鮮人参を中心とする製剤を使えば、悪化する可能性が非常に高いのです。
既に気の流れが詰まっているところにさらたくさんの気を投入して詰まらせるわけですから、疲れは一層ひどく、強くなるでしょう。
その副作用には熱や炎症といった症状が特徴で、目の充血、かゆみなど結膜炎の症状が出たり、鼻のかゆみなどが現れる場合があります。
中医学の治療原則から見ると、これは治療ではなく寧ろ「朝鮮人参などの中薬が人に害を与える行為」となります。
肝うつに効果的な漢方薬としては、逍遥散(しょうようさん)や、加味逍遥散(かみしょうようさん)などが考えられますが、どちらを使うべきでしょうか。
その判断には、さらにもっと細やかな分析が必要になります。ここが、プロの世界に必要な深さなのだと思います。逆に言えば、このような分析ができなければプロではないのです。