抑肝散の報告から中医学の未来を見る1


 抑肝散が認知症の周辺症状を改善するという報告が発表されたそうです(NHKの番組)。
本当にそうですか
良かったですね、これから認知症の治療薬があるからもう安心できる
ありえないことでしょう。
10年前の小柴胡湯事件を発生する前の状況に似ているように思えます
などなどで周りにこのような声が耳に入っています。
まず中医学の弁証論治の原則から見ると、一種類の薬で一つの病気を治療することを考えられません。
認知症の興奮状態の症状にでも、ほかの症状にでも、一つの症状は必ずしも一つのメカニズムではないことをぜひ理解しています。
 痛みなら、ブロックをすればという方法があるが、中医学はこのような考え方はありません。なぜならというと痛みのメカニズムは夫々あるから、熱か、寒か、気滞か、瘀血か、失養かなどで、一種類の薬で痛みを治療するはずはないということです。
 中医学の考え方で作られた薬に対して西洋医学の解釈を行いたいなら、中医学のルールに従ってやるべきだと思います。
本題に戻りますが、中医学では認知症の原因は少なくとも二つ挙げられる:
 1、腎精不足→骨髄の減少→脳髄不充:虚証に属します。
 2、脳髄の量が少なくないが、精気の流れが障害する。実証に属します。
 抑肝散は実証に属しますので、虚証に使うと、病気がますます酷くなると思われます。従って、まず認知症の実証のメカニズムを解明する実験の上で、次に抑抑肝散の効能効果を確認する実験をするなら、更に現実に近いデーターが得られる可も知れません。

About 中医学アカデミー

90年に日本へ来日して以来一人でも多くの方へ中医学の正しい知識を身につけて頂きたいという思いで普及活動を行って参りました。 日本中医薬連合会においては多くの国際中医師を輩出してきました。 この日本で優秀な漢方医がたくさん育つことが私の夢であります。 中医学アカデミー http://www.iatcm.com
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