十全大補湯と気血両虚


十数年以来の中医教育では、色々な思い出がありますが、日本では漢方薬に対して「効能」を重視し、本来の弁証論治という中医治療のあり方が無視されがちです。
例えば、気血両虚の患者に「十全大補湯」を使用したものの効果が得られず、どうしたらよいかと質問される場合があります。
日本で流通している十全大補湯の効能は、主に「病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、寝汗、手足の冷え、貧血」を改善するとあります。
気血両虚は気虚と血虚の症状が確認しなければなりませんが、効能書きのような「病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、寝汗、手足の冷え、貧血」だけでは、それを正しく判断することは難しいと感じます。気血両虚を治療する代表方剤は、十全大補湯と八珍湯ですが、いずれにしても弁証を間違ったが、処方を間違えば、思ったような効果は得られないでしょう。

中医学のプロの世界では、気血両虚に対して、気虚と血虚を招いた原因や各臓腑間の関係、或いは気虚と血虚との関係などいくつかの方向から考える必要があります。
十全大補湯或いは八珍湯はいずれ気血両虚の結果に対する治療処方です。気血両虚の原因を治療する処方は、弁証の結果次第です。このような「原因」を見出す能力を身に着けるために、先ず中医学の専門用語、概念を深く理解する必要があると考えています。

About 国際中医師アカデミー

90年に日本へ来日して以来一人でも多くの方へ中医学の正しい知識を身につけて頂きたいという思いで普及活動を行って参りました。 日本中医薬連合会においては多くの国際中医師を輩出してきました。 この日本で優秀な漢方医がたくさん育つことが私の夢であります。 国際中医師アカデミー http://www.iatcm.com
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