春のトゲトゲにご用心



春になると陽射しともに気持ちも明るくなり、やる気が出てきませんか?
寒くて無口だった冬とは違い、温かい陽気に誘われておしゃべりになったりします。

実際、春は全体の陽気が上がってくるので、活気に満ち、意欲もわいてくる季節です。
そんな春は出会いの季節、恋の予感もしてくるものです。

ところがこの時期、その好きな相手に対して、ちょっとトゲのある言い方や、思ってもない言葉が飛び出してしまう可能性があります。

食べたいものや観たい映画の相違など、きっかけはささいなことですぐ喧嘩になってしまい、あとから考えると、この時期のイライラやトゲトゲさが破局のきっかけになっていた、なんてことも。

なんでこんなことに? 
これ、中医学的に考えると、春の転換期に五臓の気が順調に機能していないことにありそうです。

特に肝の気がうまく働いていないと、イライラしたり、乱暴な言葉が出てしまいがちです。そして悲しいかな、相手を傷つけてしまうのです。

自分の体にもいいことはなく、このまま放置しておければ五月病にもつながりかねません。

彼氏彼女とギスギスしそうになったら、漢方薬局に相談してみるのも手です。

逍遥散(ショウヨウサン)の加減で事態は好転するかもしれません!




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産まれる前が勝負!



「うちの子は勉強しなくて成績が悪い」「集中力がなくて困る」のは子供のせい?
いえいえ、実は親のせいかもしれません。

中医学から見ると、人間の資質のほとんどは実は腎の精気(脳髄を司る)によるもの、という考え方があります。

親からもらった、つまり持って生まれた腎の精気が、その子の体力、知力のベースなのです。

優秀な後継者の育成が最大の課題であった中国の皇族の間では、遺伝の大事さ、怖さについての研究に熱心で、いかに質のいい精気を与えるかに腐心したといいます。

子供をつくる前に親(父親も母親も)が自分の体をどう養生するかで産まれてくる子供の精気の質が変わることも長年の研究でわかっていました。

そのようなことを知っている中国のある男性(世界中医薬学会連合外のスタッフ)は、「封山育林(山の木を切らずに林を育てる)だよ」と実際に妊活半年前から酒もたばこも絶ち、体の中をきれいな環境にすることを心掛けていました。(先日奥様は無事元気な赤ちゃんを出産されたそうです。将来が楽しみですね)

子供がどのような資質を持って産まれてくるかについて原因はいろいろあると思いますが、その一つに「封山育林」もあるように思います。

また「妊婦が一口多く食べることは、産まれた子が鍋いっぱい食べるよりも効果あり」という言葉もあります。

妊娠中に不摂生していて、産まれてきた子の体が弱かったからと、あとから栄養のあるものを与えても遅すぎる、という意味深長な言葉です。

子供が産まれる前から、親が毎日ちゃんと食べて、寝て、運動し、心豊かに精神が安定していることこそが、わが子を頭も良くて精気も強い子にしてくれます。

妊娠前や妊娠中に、少なくとも気遣ってあげることが、後々の育児の心配も減らしてくれるのかもしれません。



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疳の虫の強い(?)ときの漢方の見方



すぐ泣く、よく泣く、夜寝ない、神経質、非常に興奮しやすい…いわゆる疳の虫の強い子、癇癪持ちの子のお母さんは大変ですね。

でも子供が悪いわけではないのです。
幼い子のグズリは体調不良の表れです。
たとえ病院で病気だと言われなくても不調ということはあるのです。

中医学的にいえば、体の陰陽のバランスが崩れているということ。
このような場合、消化不良や、胃腸・心臓に熱があることが多いです。

子供は五臓が未発達なうえ、現代の生活では、消化しにくいタンパク質を摂取しすぎることが消化不良の最大の原因です。

消化不良になると胃に熱がこもり、口臭がある、便が臭い、下痢や便秘になる、と言う症状が出ます。

胃に熱があると、次は心臓にも熱がこもっていき、これが興奮やイライラなど、精神的な不調につながっていきます。

きちんと治療しないと疳の虫のひどい状態である「疳証(かんしょう)」という病気になってしまいます。肌に艶がなく、やせていき、髪もパサパサになるのが特徴ですが、この病気になると治療はとても難しくなります。

そうならないためにも、グズリがひどいときは、早めに漢方のプロにみてもらいましょう。

診断ではっきりしたら、消化能力を高める漢方薬や熱を冷ますような漢方薬を調合したものなどが処方されます。体に必要な漢方薬を飲むと、体調も気持ちも落ち着いてきます。




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当帰を飲めば夫は飛んで帰ると言うけれど…



当帰という生薬は、温性と潤性をもち、卵巣に対しても良い作用があり、血虚による便秘の治療にも効果的であることから、女性の美容と健康にいいと言われます。

“妻が毎日これを飲んでいれば、夫はどこにいても必ず飛んで帰ってくる”という中国の故事から「当帰」と名付けられ、美女を育てる生薬とも言われました。

現代でも女性疾患に効果が高いとして、よく勧められる生薬の一つです。

一見素晴らしい生薬に見えますが、痰湿、陰虚・火旺の人は、当帰を飲めば病気を悪化させることになりますので、服用は要注意。当帰には補血作用ともに活血作用もあるということを忘れてはいけません。

痰湿、つまり体がいつも重たい、痰がからんで消化不良の症状がある人が当帰を飲めば、消化吸収の力が下がり、下痢になったり、貧血がひどくなるでしょう。

体がいつもほてっているような人が飲めば、ほてり症状がひどくなるのでご注意ください。

当帰を使用する弁証の原則は、まず陰虚がないかチェックすることですが、もう一つ、ほかの生薬との配合がとても重要になります。

中医薬の治療では、1つの生薬に頼りきるのはNG。漢方薬が効くかどうかはこの配合にかかっているといっても過言ではありません。

方剤学ではこのような生薬の配分や配合を学びます。



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葉酸の取り過ぎで免疫力低下?



大量に葉酸を(人工的に合成されたビタミンB9)を摂取すると、ウイルス感染症やガンと闘うための免疫力が衰えるというデータが、最近のタフツ大学の研究で出ています。

葉酸といえば妊婦に積極的な摂取が奨励されている栄養素として皆さんご存じかと思いますが、さらにデータでは、閉経後の女性の78%で葉酸が代謝されないまま血流中に存在していて、彼女たちのNK(ナチュラル・キラー)細胞の活性も低いというのです。

では葉酸は摂っていいのか、悪いのか。この問いに誰もが当てはまる答えはありません。
陰陽の論理で考えれば、どんなものでも良い面と悪い面があるものです。
ところが現代の情報が氾濫し、サプリや体にいい食べ物なども良いデータだけを載せていることが多く、これは中医学的にみても、また哲学的にみても非常に危険だと思います。

必要な体に使えば効果的でも、その人の体には要らないものを、“「飲めば効く」と言われているから”と摂取することは、自然の論理に反します。だから具合が悪くなるのです。

中医学は自然の医学の一つ。自然のルールに従って治療します。
ただし、陰陽の理論通り、体に必要な人には効くけれど、取り過ぎは禁物という漢方薬はたくさんあります。体に本当に必要かどうかの診断なしに「効くらしいから」と飲むことが、副作用が出る、とか、効果が薄い、という例が数え切れないほど出ている原因だと思います。

漢方のプロは、今の体にどんな力や働きが足りないのか、もしくは使われてないのかをチェックする能力があります。このような能力を弁証の能力といいます。
そして、弁証の結果に従って、体に足りない部分を補い、多い部分を取り除くことで治療していくのが漢方の原則です。この能力を論治の能力といいます。

この2つの力があれば、自分や家族の体を守り、不要な薬害を防ぐことができます。
中医学の基礎理論はこれらの力を身につける学問です。



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かくれ不眠症の怖さ



朝起きて、「『よく寝た!』という気分があまりない」「なかなか起きられない」「眠くて、いつまでもぼーっとしてしまう」「夢を見ることが多い…」という人は、よい睡眠をとれていない、いわゆる「かくれ不眠症」かもしれません。

「夢を見たから寝てるはず」と思うかもしれませんが、結論からいうと、朝、元気に起きられないのであれば、それは陽気(精気)が上昇していない証拠で、“寝た”(良い睡眠をとれた)とは、言えません。

精気は睡眠中に作られますので、夜よく眠れなければ精気をたくさん作ることができません。
すると朝になっても精気が陽気となって上昇もできず、元気が出ないのです。

逆に、夜にちゃんと眠れるということは、精気をたくさん作れますから、朝すっきりと気持ちよく起きられるわけです。

「朝すっきりしない状態」が困るのは、眠くて仕事の効率があがらないことだけではありません。
この状態が続くと、だんだん精気不足がひどくなっていきます。

そして精気不足の問題は、単に元気が出ないことだけではなく、もっと怖いのはさまざまな病気の根源になることです。

たとえば認知症やそのほかの老化現象も、普通よりも早く出てくるでしょう。

精気は体を動かす原動力です。
睡眠の質が良くないと、病気への抵抗力や自然治癒力が弱まり、生命力までも弱っていくことになるのです。

では質のよい睡眠をとるにはどうしたらいいか。

睡眠薬に頼る? いえいえ、ここは漢方薬の出番です。

漢方薬での治療の原則は、無理やり眠らせるものではなく、かくれ不眠の原因をつかんで治療することです。

そうすることで、夜になり暗くなって体が休む時間になると、自然と眠くなっていくのです。



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つらい手荒れは陽虚かも!?



手荒れは家事にも非常にストレスになりますし、つらい症状です。
保湿クリームなどの商品もいろいろと出ていますが、悩んでいる人はとても多いようです。

手は外部との接触が一番多いため、中医学でも原因はこれとはいえない難しい部分があります。
ただ、中医学では手荒れには3つのタイプがあると考えています。

1.もともとアトピーの原因を持っている。

アトピーといってもいろいろなタイプがありますので、診断は複雑です。
治療には、基本的なアトピーの治療法と個々人の症状の弁証に基づく治療が必要になります。

2.アトピーではなく、天気が寒くなると荒れる

この場合は陽虚であることが多いです。
陽気がしっかりあれば、温めるだけでなく潤す役割があり、これを温煦(おんく)作用<体を囲んで温める>、温潤(おんじゅん)作用<温めながら潤す>、といいます。

陽気が足りないから荒れるんですね。

肌につやがあるかどうかで正常な温煦作用が行われているかわかります。

陽気が通れば水や血液を運んでくれますから潤いますし、運ぶ力が弱いと手荒れ、肌荒れになっていく可能性は高い。
さらに陽気が寒いと水も血も通りにくくなります。ですから、補陽と通陽の方法で治療することが原則になっていきます。

3.不眠や疲れることで手荒れる

もう一つ、アトピーではなく、不眠や疲れで手が荒れる場合、気血が不足していることが考えられます。
気血は睡眠時間に作られますから、まずはきちんと睡眠をとることが重要な治療の一つと考えられます。

少なくとも、この3種類は原因が違う手荒れであるということを知っていただきたいと思います。

普段の養生としては、ハンドクリームなどでの表皮の保湿も大事ですが、同時に体内のバランスを整えて中から治すことも大事です。手は本来、ハンドクリームがなくてもツルツルでいられるものなのです。



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花粉は避けるべき? 闘うべき?



花粉症の人には「目がかゆい」「くしゃみ鼻水がとまらない」と辛い時期になってきました。

春のこの時期のアレルギー疾患はI型アレルギーの病気といわれます。
日本ではそのアレルゲンがスギ花粉によるものが多く、花粉症として定着していますが、皆さんどのように対策されていますか。

多々の症状・炎症を引き起こすこれらの花粉も、中医学では異気の一つと考えています。
異気の特徴の一つは、あるシーズンに多くの人に同じ病気を発生させることです。

異気に対抗する手段として2つ考えられます。
1.避ける  
2.正気(病気への抵抗力と自然治癒力)を高める

1の「避けた方がいい」場合とは、コレラやペストなど、体内の正気がいくら強くても対応できないほど異気が強過ぎるときです。
一方、感染者を全滅させるような強烈な異気でない場合は、2の「正気を高める」ことが身を守る大きな手段です。

では花粉症はどうかというと、マスクなどで花粉の侵入を防ぐと同時に、正気を高める(体を丈夫にする)ことが対抗策となるでしょう。

正気が弱まる原因には、臓腑の虚弱や気血の流れの異常などがあります。
正気の不足は様々な病気の発症に繋がり、花粉症もそのひとつと考えられます。

正気不足をそのままにしていると、徐々に通年性のアレルギー疾患にかかりやすくなっていきます。

つまり花粉症だけでなく、蕁麻疹やぜんそくになる可能性が高くなるのです。
このような現象は自然治癒力がどんどん下がっている表れなのです。

漢方を使って正気を高めるには、正気が弱まる原因となる臓腑や部位を見つけて治療することが原則です。
そして臨床では、正気を補いながら邪気を追い出す方法をとるのが主流で、これを扶正袪邪と言います。



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漢方の生命力



「漢方」というのは大きく分けると2つの中身があります。

1つは、道具(漢方薬、鍼灸といった治療道具)。
もう1つは、病気の分析、判断(弁証論治)です。

道具を使いこなそうと思ったら、まず何よりきちんと病気の分析ができることが、適切に使う大前提になります。

今、日本で道具は既にそろっています。

ただ、残念なことに漢方薬や鍼灸を西洋医学的に見ていることが多いと感じます。

これでは残念ながら漢方の力を最大限に発揮するのは難しいでしょう。

なぜなら、「病気の部位は?」「性質は?」「どの程度発展しているのか、もしくは回復しているのか」、などなど細部にわたって患者さんの病状の変化を見て判断する中医学による分析こそが、漢方の生命力だからです。

言い換えれば、漢方の生命力は“分析できる人材”といっても過言ではありません。

薬だけあってもだめで、中医学の人材を育てることが薬を活かすことにつながります。

「弁証論治」こそが漢方の生命力であることを、どうぞ忘れないでください。



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めざせ!野球並の周知!



先日あるテレビ番組で、バレエダンサーの熊川哲也さんが、ご自身のバレエ団(スクール)で指導する意義について、「バレエの素晴らしさと同時に、難しさ・大変さを伝えたい」と語っていました。

それも日本に野球が浸透しているのと同じぐらいの認知度で、と。私はこれを聞いて、なるほど!と、とても共感しました。

日本では、野球がどういうものなのか、どこがすごいのか、多くの人がわかっている。
つまり野球は、通(つう)の人しかわからない特殊なものではなく、もはや宣伝しなくても浸透していて、観戦するファンの目も肥えています。

一方、バレエは今や習い事のトップになるほど人気があり、有名な舞台のチケットは高額にもかかわらず即完売になるほどですが、それでもまだ、日本ではバレエと野球の間には、理解度のアベレージ、文化としての浸透性に大きな差がある、ということです。

いわんや漢方をや!です。バレエの足元にも及びません。
野球チームについて語るように、どれだけの方が「漢方のここが好き、すごいと思う」「あそこの薬局の腕はまあまあだ」といった“贔屓の漢方談義”をしているでしょうか?

私も熊川さんがバレエ理解者(プロだけでない)を増やしたいのと同じく、野球を観戦するのと同等レベルの“漢方を見る目”を是非たくさんの方に持って頂けるといいなと思います。

プロでなければ良し悪しの見極めができないわけではない、というのは野球の世界で一目瞭然です。プロ選手のようには打てないけれど、でも今のスイングがいいか悪いかはわかる、という“見る目”は、たとえプロ選手にならなくても身に付きます。

漢方についても同じです。
漢方薬局を開くわけではなくても、自分や家族のために、“鑑賞できるレベル”、つまり漢方薬や漢方薬局の良し悪しがわかる“目利き”になるために学んでみることもお勧めです。

中医学の基本である陰陽五行学説や臓腑、病因病理の内容について知れば、自分である程度分析できるようになり、漢方薬局での説明にも合点がいきます。

医療関係者の言いなりにならずとも、「この漢方薬剤師なら」と、自分の目で納得して弁証を受けることもできるし、逆に腕の悪い漢方薬局にごまかされずにすむでしょう。
何より、わかると楽しくなるものです。

少なくとも、「漢方薬には副作用が無い」とか、「長く飲まないと効かない」などということはナンセンスだということが、きっとお分かりいただけると思います。



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